先にお伝えしないといけないことは、私たちの知的能力はIQだけで測ることはできません、ということです。精神医学で知的障害と診断する場合、IQだけではなく、社会で生きていく上で必要な能力の有無や社会性なども含めて評価しています。つまり、IQだけでみれば境界知能の範囲にある人であっても、知的障害と診断されることもあれば、IQが70をわずかに下回っていても、知的障害と診断されない人もいるのです。ラクル宗像校には、いわゆるグレーゾーンの子供たちが多く通われています。そしてその子たちは、支援の手からこぼれ落ちる「境界知能(知的ボーダー)」になっているという問題があります。境界知能とは、おおむね知能指数(IQ)70〜84の範囲に入る人を指します。IQが平均的な人と知的障害の人の境目の部分を意味することから「知的ボーダー」と呼ばれることもあります。なお、境界知能は医学の診断名ではありません。混同しやすい言葉に「グレーゾーン」があります。一般的にグレーゾーンは、発達障害の特徴はあるものの診断基準を満たさない人を指します。グレーゾーンと知的ボーダーはしばしば混同されがちですが、どちらも正確に定義されるものではなく、支援を行う場合は分けて考えることが必要です。IQと発達障害・知的障害そもそもIQとは、知能検査で測定された数値のことです。認知能力がどれくらい発達しているかに加えて、その人の得意分野や不得意分野を調べるときに使われます。この判定を基に、必要な支援の方向性などを考えるのです。よく知られている子どもを対象とした知能検査の一つに「WISC(ウィスク)」があります。「WISC(ウィスク)」は、子どもの知能を「言語理解」「知覚推理」「ワーキングメモリー」「処理速度」の4つの指標に分けて、これらの合成得点から子どもの知的発達の程度を把握するものです。一概に言えませんが、それぞれの指標の得点にバラツキが大きい場合、発達障害の傾向が強いと考えられます。支援の手からこぼれ落ちる「境界知能(知的ボーダー)」の人々今、問題になっているのは、IQだけでみれば「境界知能(知的ボーダー)」の範囲であっても、日常生活を送るための能力が低い人たちです。なぜならIQが70以下で、かつ日常生活を送る能力が低ければ、軽度知的障害と診断を受けて支援の対象になります。ところがIQが境界領域の人は、どれほど日常生活に困難を抱えていても、彼らを助ける制度はどこにも存在しないのです。仮に、知的障害や発達障害などの診断がつけば、特別支援学級や障害者枠での雇用などさまざまなサポートを受けることができます。一方で、そのはざまにある、知的障害ではないもののIQが平均値に届かない、境界知能の人に対する支援体制はありません。境界知能の人は知的障害ではないものの、一般には軽度知的障害の人と同じような困難を抱えています。それにもかかわらず、あらゆる支援の手からこぼれ落ちてしまっているのです。約1700万人、人口の約14%が該当実は境界知能に該当する人は、日本では約1700万人、人口の約14%もいると推測されています。これだけ多くの人が該当する可能性があるにもかかわらず、境界知能はこれまで医療の分野でも教育の分野でも見過ごされてきました。しかし、公的な支援制度がないとしても、幼少期から周囲が一定の配慮をすることでその子どもの生きやすさは大きく変わってきます。だからこそ、まずは保護者が我が子の違いを感じてあげることが重要です。子育てにおいて、我が子と他の子を比べる必要がないのはもちろんです。その一方で、集団の中で明らかに理解力やコミュニケーション能力の低さを感じたら、まずは保護者自身そして教育現場がそれをキャッチしてあげることが大切です。当校は分け隔てなく、生徒を受入れています。発達障害、学習障害や不登校のこどもたち、みんな個性的で澄んだ心の持ち主です。「原石」を丁寧に、易しくブラッシュアップしてあげられるよう、もちろん保護者の協力のもと、日々活動しております。すこしでも、お悩みの方、まずはお気軽に見学、また体験へお越しください。遠慮することはありません。